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津田 修一; 中根 佳弘; 山口 恭弘
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.174 - 177, 2007/08
被引用回数:6 パーセンタイル:42.5(Environmental Sciences)高エネルギー中性子に対する線量評価においては、中性子と人体構成元素との核反応から生じ、エネルギー付与を行う二次荷電粒子のエネルギースペクトル情報が重要である。これらの荷電粒子スペクトルの詳細解析を行うために、20MeV以下の中性子に対する核データと荷電粒子発生モデルを組み込んだモンテカルロ重イオン輸送計算コードPHITSが開発された。そこでPHITSによる計算値の信頼性を評価するために、0.14MeVから65MeVまでの単色及び準単色中性子照射によって得られる、人体組織代替材料内の荷電粒子スペクトル,カーマ及び吸収線量の測定データについて、計算結果との比較を行った。その結果、計算による解析結果は測定データをよく再現することを明らかにした。これより、PHITSは実験を行ったエネルギー範囲において、人体内でのエネルギー付与過程の詳細解析に応用できると考えられる。
高橋 史明; 遠藤 章
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.595 - 599, 2007/08
被引用回数:2 パーセンタイル:18.73(Environmental Sciences)モンテカルロ計算法は、放射線事故の状況に近いモデルを構築できるという利点があるため、事故被ばく者の体内の詳細な線量解析に有効な手法となる。そこで、被ばく者に対する効果的な医療措置に必要となる詳細な線量分布を解析するため、MCNPコードを利用したシステムを開発している。人体の線量解析では、モデルの作成に複雑な手順及び時間を要する。そこで、計算に用いるモデルを記述する入力ファイルを簡便に作成するための二つのツールを開発した。これらのツールは、汎用のパーソナルコンピュータで動作し、入力ファイル作成に必要な情報を対話形式で入力する。一つ目のツールは、放射線源モデルを容易に構築する機能を有する。二つ目のツールは、四肢が可動する人体モデルを使用して被ばく者にかかわる入力ファイルを作成する。このモデルは、任意の性別,体格,姿勢及び位置について定義することが可能である。開発したツールにより与えられた入力ファイルを使用して、過去あるいは仮想した事故条件について線量解析を実行した。開発したツールは、事故時の線量評価用の計算モデルの作成の効率を大幅に改善させた。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦; 遠藤 章; 松藤 成弘*; 高田 真志*
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.555 - 558, 2007/08
被引用回数:2 パーセンタイル:18.73(Environmental Sciences)広帯域エネルギー対応マルチ放射線モニタDARWINは、液体シンチレータからの光出力分布に、線量換算するG関数を適用し、線量を導出する。本研究では、DARWINの中性子に対する測定エネルギー上限値を、これまでの100MeVから1GeVまでに拡張した。G関数の評価に必要となる液体シンチレータの応答関数の計算は、既に開発したSCINFUL-QMDを用いて計算した。この計算において、中性子との核反応により液体シンチレータ内で発生する荷電粒子に対する発光データを、HIMACにおいて測定した実験データに基づき更新し計算精度を向上させた。得られた応答関数を用いてG関数を評価し、これをDARWINに組み込み、1GeV中性子までの線量測定を可能にした。
佐藤 達彦; 佐藤 大樹; 遠藤 章; 山口 恭弘
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.501 - 505, 2007/08
被引用回数:4 パーセンタイル:31.41(Environmental Sciences)高エネルギー加速器施設の作業環境,環境中のバッグランドに存在する中性子,光子,ミューオンによる線量を高感度に測定できる線量測定システムDARWIN(Dose monitoring system Applicable to various Radiations with WIde energy ranges)を開発した。DARWINは、以下に示す4つの特徴を有する。(1)1台で幅広いエネルギーかつ複数の放射線による線量を同時にリアルタイムで測定可能,(2)高精度及び従来の中性子モニタと比べて10倍以上の高感度,(3)ユーザーフレンドリーなインターフェイスによる高い操作性,(4)軽量。本論文では、DARWINの測定原理に関して詳細に説明するとともに、幾つかの加速器施設において行った応答特性試験結果について述べる。
谷村 嘉彦; 三枝 純; 志風 義明; 堤 正博; 清水 滋; 吉澤 道夫
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.8 - 12, 2007/08
被引用回数:12 パーセンタイル:63.69(Environmental Sciences)日本原子力研究開発機構では、加速器を用いた8keVから19MeV領域の単色中性子校正場を開発している。8及び27keV中性子の発生にはSc(p, n)Ti反応の共鳴ピークを利用する。本反応の中性子発生断面積は複雑な共鳴構造を持ち、1keV以下の精度で入射陽子のエネルギーを制御しなければならない。ところが、加速器の電圧制御のみで必要とされる陽子エネルギーの微調整を行うのは困難であり、単色中性子校正場開発の大きな問題点となっていた。そこで、ターゲットに電圧を印加できる装置を取り付けることにより、入射陽子エネルギーの迅速かつ高精度の調整を可能にした。Sc(p, n)Ti反応のしきいエネルギー付近での発生中性子量をモニタし、陽子エネルギーとターゲット印加電圧の関係を決定した。この関係をもとに陽子エネルギーをもとに調整し、8及び27keVそれぞれの単色中性子を発生させた。そして、目的とする中性子エネルギーが得られていることを飛行時間法で確認した。これにより、8及び27keV単色中性子を安定して発生させることができ、これまで難しかったkeV領域での中性子測定器の精度良い校正が可能となった。
古渡 意彦; 藤井 克年; 高橋 聖; 吉澤 道夫; 清水 滋; 川崎 克也; 山口 恭弘
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.138 - 144, 2007/08
被引用回数:5 パーセンタイル:37.19(Environmental Sciences)一般的に利用される中性子用の個人線量計は、線用の線量計と比較してエネルギー応答特性が悪い。そのため中性子線量計は、線量に関して適切な校正がなされないと、作業環境で使用した場合、真の線量に対して大きく異なる値を指示する場合がある。この差異を小さくするには、実際の作業環境場の中性子スペクトルに近い中性子校正場で中性子線量計を校正するのが有効である。放射線標準施設棟では種々の中性子線量計に対して実際の作業環境場に近い中性子スペクトルによって得られる校正定数を提供する目的で、Cf中性子線源を重水で満たされたステンレス球(30cm)の中心に配置して得られる中性子校正場(以下「重水減速場」という)を整備した。本研究では重水減速場の重要な特性(ステンレス球表面から校正点に直接到達する一次線の中性子フルエンス率,中性子エネルギースペクトル,線量換算係数,線量当量率、及び散乱成分の照射距離に対する変化)を計算シミュレーションと多減速材付中性子スペクトロメータによる実測により評価した。一連の計算シミュレーションと実験で、中性子フルエンス率とスペクトルを実測する際の室内散乱成分の補正手法の有効性について議論した。加えて個人線量計のための校正場として利用する場合の、最適な照射距離についての評価も行った。
志風 義明; 谷村 嘉彦; 三枝 純; 堤 正博; 山口 恭弘; 内田 芳昭*
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.163 - 167, 2007/08
被引用回数:3 パーセンタイル:25.51(Environmental Sciences)20MeV以上の中性子エネルギーに関して、校正場や校正技術の国際的な標準が確立されていない。そこで、日本原子力研究開発機構・高崎量子応用研究所TIARAの4090MeV領域の高エネルギー準単色中性子照射場を利用して、校正場の開発を進めている。ここでは、45, 50, 70MeV陽子がリチウムターゲットと反応して生成された中性子の場の特性を評価した。まず、イメージングプレートを用いて中性子ビームプロファイルをターゲットからの異なる距離において調査した。測定結果から、ターゲットからの距離とコリメータの内径に幾何学的に依存した中性子ビームの空間分布を把握した。また、ビーム強度がターゲットからの距離の逆2乗に比例することも確認した。次に、有機液体シンチレータ検出器を用いて飛行時間法(TOF法)によりエネルギースペクトルを測定した。さらに、照射野外の位置において散乱線の波高スペクトル測定を行い、FORISTコードによるアンフォールディング法からエネルギースペクトルを評価した。これらの異なる方法により得られたエネルギースペクトルからピーク部のフルエンスを評価した。
辻村 憲雄; 吉田 忠義; 高田 千恵; 百瀬 琢麿; 布宮 智也*; 青山 敬*
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.261 - 264, 2007/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)中性子個人線量当量を測定する新型中性子測定器を開発した。本測定器は、中心に配置された熱中性子検出器,中心部のポリエチレン減速材,前部の半球ポリエチレン減速材,後部のボロン入りポリエチレン吸収材からなる。中性子個人線量当量のエネルギー及び角度依存性に特性が合致するよう各部材の寸法を、モンテカルロ計算により決定した。
辻村 憲雄; 吉田 忠義; 百瀬 琢麿
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.168 - 173, 2007/08
被引用回数:5 パーセンタイル:37.19(Environmental Sciences)Cf-252及びAm-241/Be中性子線源について、線源周囲の構造物による中性子フルエンス分布の非等方性をモンテカルロ計算によって評価した。
谷口 真吾*; 中尾 徳晶*; 中村 尚司*; 八島 浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 中根 佳弘; 中島 宏; 糸賀 俊朗*; 民井 淳*; et al.
Radiation Protection Dosimetry, 126(1-4), p.23 - 27, 2007/08
被引用回数:14 パーセンタイル:66.15(Environmental Sciences)250390MeVのエネルギー領域におけるLi(p,n)Be反応を用いた準単色中性子場の開発を大阪大学核物理研究センター(RCNP)で行った。250, 350, 392MeV陽子入射による10mm厚Liターゲットからの0方向に生成された中性子を10cm12cm,長さ150cmのコリメータを通して100m長さのTOF室へ導いた。中性子エネルギーは直径,厚さが12.7cmのNE213液体有機シンチレータを用いて飛行時間法で導出した。また、生成されたBeからの478keVの線測定を用いて絶対ピーク中性子収量を導出した。高エネルギー領域の中性子を用いた実験データは非常に少ないので、この中性子場は大変有効であり、既に中性子遮蔽実験やNE213の応答関数測定に用いられている。また、この中性子場を用いて、中性子断面積測定や照射効果の検証なども計画されている。